ハーメルンの笛吹き男

大手企業の海外進出が止まらないようです。というより加速しつつあるという人も居ます。
特に電機や自動車といった日本の主要輸出産業の製造がどんどん海外に委託され、国内の工場が閉鎖され、下請けはリストラされつつあるのが現状のようです。

「ハーメルンの笛吹き男」という昔話があります。

ある街に一人の笛吹き男がやってきます。
その街はねずみの被害に悩まされていて、笛吹き男は街の人々に報酬と引き換えにネズミ退治を引き受け、笛の音でネズミを引き連れて川に溺れさせ退治してしまいます。
ところが、街の人々はネズミが居なくなってしまったのを幸いに報酬を出し渋り笛吹き男を追い出してしまいました。
再び街にやってきた笛吹き男は、今度は街の子供たちを一人残らず笛の音で山奥の洞窟に連れ出し、岩で入り口を閉じ込め中から封印をしてしまった、というお話です。

ここ数年、日本はマスコミを筆頭に世を挙げて大手企業の派遣切りを非難し、企業に悪のレッテルを貼る一本調子を変わらず続けてきました。中にはいまだに企業を資本家と呼び、江戸時代の越後屋宜しく、敵視するような言動をする政治家や評論家がテレビで金切り声を挙げています。

そりゃ、企業だって馬鹿じゃない訳で、そんなに言うのなら、もっと商売のやり易い場所に逃げ出そうとするでしょう。社会保障のほとんどの責任を企業に押し付け、そのあげく文句言われるのなら、子供たちが去って街の未来が失われたように、雇用基盤を持って海外に逃げ出すのも不思議ではありません。

去年から叫ばれる就職難にしても、浮世離れした「自分探し」だの「自分のやりたい事を見つけよう」だのとくだらない職業教育と称したピーターパン製造カリキュラムを公教育挙げてやってきた結果のように思うのです。

企業も生き残るためには、必要な人材を目を凝らして探していますが、必要でない人間を無駄に抱えてはいたくないのです。そのお眼鏡にかなう事ができないのなら当然その会社の一員になる事はできないのです。
その事をすっ飛ばして企業非難を続けても何も解決しないし、もちろん経済の発展もありえません。

笛吹き男に子供たちを返してもらうことは容易ではありません。しかし、経済合理性の結果として企業が判断したのだとしたら、雇用も経済合理性によってしか戻ってはこないでしょう。

それは、私たちがやはり今に甘んじる事なく、成長を望み、怠惰を嫌い、対価としての富だけを願う当たり前の姿で居るしかないのではないでしょうか?

少なくとも時代や世間、政治家やマスコミのせいにしていても何も解決しないことは明白です。

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